ウェブ・ユーザビリティ 顧客を逃がさないサイトづくりの秘訣

koba-n2004-10-10


本日BookOffで購入。Webのユーザビリティの研究者であるJakob Nielsen氏の本です。私の所属している研究室でこの人の記事を輪講したことがあり、「言っていることにツッコミどころが多いが、言っている方向性はそこそこ正しい研究者」として研究室内では認知されています。


この本が主張するのは「インターネット経済を左右するのは、Webのユーザビリティである」ということです。彼は1994年からWebのユーザビリティの研究を開始し、約400人の様々なユーザに多くのウェブサイトを使ってもらった6年間の記録と、Web以前の10年におけるオンライン情報システムやハイパーテキストの研究成果を踏まえてこの本にまとめたそうです。


といっても、「応答時間が早い方が顧客定着率が高い」とか「文章は適切な分量に分割して配置すべき」とか「検索機能をつけよう」とか、内容的には当たり前のことばかり。しかし当たり前のことをユーザビリティテストを通して検証しているのが偉いのだともと思います(出てくる数字はちょっと怪しいのですが)。URLの長さだとか、リンクの貼り方だとか、Webサイト作成全般に関して議論の叩き台となりうるような意見がひととおり書かれています(その正当性は別にして)。


とりあえず、現在の私には目新しい発見が有った訳ではないのですが、仕事などでWebサイトを構築するといった場合に、議論の出発点として活用するには良い本なのではないかと思います。あと、具体的に「このサイトは良い」「このサイトのデザインは最悪だ」など、実際のサイトのデザインを斬っているので読み物として面白いかも。あと、『未来の予測』の章では、「Webによってマンハッタンやシリコンバレーといった行き過ぎた高値の不動産市場は80%下落する」とか「税収が半減する。ほとんどの価値創造がオンラインで行われて課税が難しいからだ」とか「Macintoshが消える」とか、かなりトンでもな意見が書かれているので、ここもチェック。


うーん、なんか、やっぱりツッコミどころが多い評になってしまいました。