国際家電見本市「2005 International CES」

アメリカのネバダ州ラスベガスにて、世界最大規模の家電見本市「CES」が開幕したようです。6日から9日までの3日間の開催で、約2400社が出展、12万人が訪れる見込みだそう。ITmediaのほうでもCES2005特集が組まれています。

いまや家電とIT分野は切っても切り離せない関係。今年の注目もやはり「ホームネットワーク+サービス」「大型ディスプレイ」「大容量ストレージデバイス」の覇権争いです。


私は「マイクロソフトの家電戦略に、日本のデジタル家電業界がどのように対応してゆくか」に特に注目してます。ハードウェアが十分に高性能になりコモディティ化している今、ソフトウェアの質がデジタル家電の質と同等の意味を持つようになることは予想に難くありません。日本の家電メーカは最先端のハードウェアを設計することに関しては実績がありますが、数年先を見越したソフトウェア設計に関してはダメダメといった印象があるので、今後ハードウェアの地位が低下しソフトウェアが主戦場になったらどうやって競争力を維持してゆくのか、なんとかしなくちゃならないところです。


かといってすぐにマイクロソフトが家電の覇権を握るのかというとそうでもないと思っていて、マイクロソフトは5年ほど前から「すべての家電にウィンドウズが搭載される」という戦略を打ち出していますが、コンシューマ向けデバイスに関してはまだうまくいっていない様子。XBoxWindowsCE搭載のPDAは海外ではシェアを伸ばしているようですけど、日本では鳴かず飛ばすですね。そういう意味では、マイクロソフトがソニーのPSPと組みたがっているというのも、頷けるところです。しかし、ソフトウェアとサービスでビジネスをしたいと思っているソニーのプライドがこのビジネスモデルを認めるかどうかは微妙。しかし、ソニーも「iPod+iTunes」というAppleのビジネスモデルを見て悔しい思いをしているので、この音楽配信ビジネスの分野のみ連合する、というのはありうるかもしれません。


私としては、マイクロソフトが携帯電話か携帯ゲーム機を作れば、もしかしたら現在の携帯デバイス業界を吹き飛ばすくらいの影響を与える可能性もあると考えています。もちろん、現在のソフトウェア資産を流用でき、さらに(WindowsCE搭載のPDAのように)携帯用のソフトウェア開発環境がオープンであることが前提になりますが。


大型ディスプレイはやはりSumsungが一歩リード。102インチPDPってのは凄いです。どうやってディスプレイを歪曲させない工夫をしているのでしょうね。ディスプレイ関係はプラズマ、液晶、リアプロといったバトルが繰り広げられていますが、電気代もかかり寿命が短いという問題を抱えているプラズマよりも、液晶のほうに期待をしたいところです。リアプロは奥行きの問題が解決しないと日本では流行らないでしょうね。映像も現在のところ精彩に欠けている印象ですし。どのメーカも、大きくすればいいという発想ですが、そろそろ大きなディスプレイをどう使わせるか、といった話が出てきても良さそうなところです。今でも同時に複数の画面を見られるという機能はありますが、タッチスクリーンにしてCMのときにタッチさせるとその商品を購入できるとか(ドラえもんでそういう道具がありましたね)、そういうビジョンについての話が出てきて欲しいなとは思います。まあ、インターネット機能つきのテレビってのは結局流行らなかったので、別のアプローチが必要になるとは思いますが。


大容量ストレージデバイスに関しては、東芝の0.85インチの4GB HDDがユニーク。携帯電話に関してはデータ容量を気にせず利用できるようになるのももうすぐでしょう。通話内容をすべて保存できるようになるとか、そういうことも可能になるのでしょうね(それが社会的にいいか悪いかは別)。もちろん、写真や動画も撮り貯め放題になるのでしょう。


なんにせよ、まだまだデジタル家電は黎明期。今後の展開にはまだまだ注目しています。