新型iPodの動画対応でコンテンツ産業は変わるか

Appleが現地時間12日に動画再生機能つきの新型iPodを発表しました。ジョブス氏がちょうど一年前に「動画対応は間違い」と言ったは記憶に新しいのですが、華麗なる前言撤回ということになります。こういう判断なら、大歓迎ですけどね:)


このiPodの動画対応ですが、技術的にはそれほどインパクトがあるものではありません。しかし、コンテンツ産業へのインパクトは相当大きなものになるのではないかと、私は予想しています。


もう少し具体的に言いますと、『3分程度のショートコンテンツ産業』が今後注目を集めるのではないかと考えています。


iPodユーザの多くは、徒歩や電車などの移動中や、デスクワークなどの作業中、喫茶店やランチなどの休憩中、行列などの待ち時間にiPodを利用することが多いように見受けられます。しかし、動画は音楽と違い、利用時に視覚を奪うことになるので、徒歩での移動中やデスクワークなどの作業中では使えません。つまり、動画閲覧の利用状況は、電車に乗っているときや、喫茶店でリラックスしているとき、また行列待ちのようなとき、といった非活動時にコンテンツを楽しむことがメインになると思われます。


その際に、重要となるのはコンテンツの長さ。1つのコンテンツが2時間あったら、見終わるのにいったい何日かかるのか、といったことになります。そもそも家でゆっくり見るならPC上で再生したほうが画面も綺麗なのですから、わざわざそんなコンテンツをiPodで見る必要はないでしょう。


むしろ必要となるのは、隙間時間に閲覧しても鑑賞する充足感を得られる3分程度のコンテンツです。漫才のネタひとつかもしれないし、ドラマのダイジェストかもしれません。好きな企業のCMかもしれないし、英会話のとっさの一言みたいな教材かもしれません。


もし私の予測が当たれば、コンテンツの作り方も大きく変わるということになります。いままでのテレビコンテンツはそのままでは使いものにならないので、それらを3分程度に再編集するようなビジネスが可能になるかもしれません。


あと、コンテンツ制作の敷居を下げる意味もこめてiPod上でFlashムービーが再生可能になればよいなと思いますね。Flashムービーをmp4かmovに自動的に変換するほうが現実的かもしれませんが。