音楽にみるクリエイティブ・コモンズの可能性(後編)

Hotwiredの記事で、GarageBandとクリエイティブ・コモンズの可能性というコラムが掲載されていました。短いサウンドの「ループ」を組み合わせて楽曲を作る『GarageBand』というMacアプリケーションにおいて、ループサンプルをコミュニティで共有するためのライセンスとしてCCPLを採用し、成功を収めているサイトの例が挙げられています。(MacBand, MacJams, iCompositions, etc...)


現実にミュージシャンがひとつの楽曲を作る上には、実に多くの人々がその作品に関わることになります。それは、作曲者、作詞者、編曲者、そして演奏に参加するミュージシャンなどです。作品への的確なダメ出しをするプロデューサ、マスタリングを行うエンジニア、リミックスを行うDJなどが関わるケースも多いです。プロモーションも視野に入れると、パンフレット作成やキャッチコピーなども考える必要があります。そうなると、もはや個人作業の域を遥かに超えた活動になります。私もアマチュアながら音楽活動の経験があるのですが、音楽を作り出すというのは基本的にコラボレーション作業であると言えると思います。しかし、インターネットコミュニティでは、まだそこまでのコラボレーションが実現するような流れができていません。その一歩として、このGarageBand+CCPLの例は将来につながる試みなのではないかと期待しています。


また、現在個人によるネットラジオやネット放送を可能にするインフラが整えられつつありますが、コンテンツをすべて個人で用意することは膨大なコストがかかります。他人のコンテンツを利用するにもそのコンテンツのポリシーをすべて確認するというのは不可能に近いという問題があります。そこでCCPLによってコンテンツ管理がなされれば、楽曲などを提供する側もその放送コンテンツなどを制作する側もお互いにとって望ましい形でのコラボレーションが可能になるでしょう。


これは希望的観測ですが、このクリエイティブ・コモンズのアイディアが一般的に浸透し、CCPLを持った著作物が市場と競争できるほどの成功を収めるようになれば、コンテンツホルダー主導の著作権管理体制に対しても著作物のオープン化の流れの影響を与えることが出来るかもしれません。まだまだ時間は掛かるかもしれませんが、現在のBlogのような「情報のコラボレーション」の次の段階として「創作のコラボレーション」の波が来ることを期待しています。