金持ち父さん貧乏父さん



最近、世の中の「お金」の流れに対して興味を持ち始めたこともあって本書を購入しました。この本の存在は以前から知っていたのですが、タイトルの響きがなんとなく好きになれず敬遠していました。SPA!みたいな雑誌によく見られる「勝ち組・負け組の二元論」的な内容かと思っていたもので。


しかし、読み始めてみると考えていたような内容とは違いました。お金って何だろうか、資産とは何だろうか、学ぶとは何だろうか、労働とは何だろうかといったことを問い直しつつ、改めて投資という考えを見つめる「経済学入門書」だといえます。


著者は「一般なお金のサイクルで暮らしていては、大金を得ても何も問題は変わらない」と言います。このサイクルというのは、収入の増加に伴い家や車や最新の電化製品など「負債」を購入してしまい、結局支出が増えるだけであるというモデルです。所有物も時間に応じて価値を下げてしまうので、結局何も手元に残らないという結果になります。このモデルに従うと、大金を得たとしても収入と支出が大きくなるだけで、結局経済的なジレンマは解決しません。


そこで筆者は、そのサイクルを改善することが大切であり、「負債」ではなく「資産」を購入してそれを運用することを勧めています。資産とは「自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス」であり、それは「株」や「債券」かもしれないし「著作権」や「特許」かもしれません。つまりは負債を購入することで贅沢を得るのではなく、資産のおまけとして贅沢をするようにお金のサイクルを改善してゆくことを主張しています。


この本は投資の具体的な方法を教えるものではないですが、「お金ってのは別に怖いものでも嫌悪されるものでもない」「給料を貰って支払いをするというパターンに嵌らないようにする」「自分のビジネスを意識する」といった基本的なことを確認するのに貴重な洞察を与えてくれています。確かにこの本はお金に関する内容ですが、筆者が真に主張しているのは「積極的に学び、賢く資産を運用し、主体的な人生を送る」ことの大切さなのだと思います。


個人的には、「臆病な人間は批判をし、賢い者は分析をする」といったくだりにドキリとしてしまいました。